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2014-05-29

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小さい頃、親に「これって、みんなおんなじ色にみえてるのかなぁ?」といった質問をして、不思議そうな顔をされた記憶があります。現在も同じでデザインをしているとき、出来上がったそのモノをみたとき、ぶらっと出かけたとき、ゴハンを食べているとき…など「僕にはこんな色にみえているけれど、他者にはどんな色にみえているのだろう」とよく頭の中を考えがよぎります。

色は、感覚です。

物体から反射した「光」の、視覚で感知することができる波長なのです。その幅は、おそらく人それぞれ微妙に(または大幅)に違うと思います。中でも、日本人が培ってきた色彩感覚はとても繊細だと考えています。例えば「桜色」「灰色」「山吹色」「水色」など身の回りや四季の自然を色彩に捉えて、情感豊かに現代まで伝えられ、その色彩の言葉は数多に及びます。

そして日本人に「山吹色」と伝えて、おそらく大多数の人がオレンジ色と黄色の中間色を思い浮かべると思います。これもすごいことだと思うのです。「日本」という国単位で、固有名詞の「山吹」という言葉から色彩を共有することが出来るのです。色彩という概念に、元々関心の強い国民性なのかもしれないと想いを巡らしたりします。もしかすると「四季」という365日の微妙な単位で「光」の動きを日々体感していることも起因しているのかもしれません。

視覚情報の伝達を生業としているデザイナーにとって、「光」を感じ取ることは重要だと考えています。先述の「色彩」はもちろんですが、「物体」も「光」がもたらしてくれた概念だと考えました。例えば、明るいところで在ったはずの物体は、真っ暗な空間では平面的に溶け込んでしまいます。「光」というものが、この地球上に存在することで「陰影」が生まれ、脳内で視覚的に物体化されているのではないでしょうか。

情報過多の現代では、氾濫する視覚情報を整理して優先順位として高い、届けたい印象を伝えることが求められます。視覚は、人間が五感から受ける情報の中で約8割と言われているそうです。そのためにもコミュニケーションの中で「整理」や「伝達」に特化した「デザイン」という職能が活用されている理由はそこにあります。

僕は、デザインの考え方は視覚を主としたグラフィックから入ったのですが、近年は、感覚や心理などへ伝達して感動するデザインとは何なのか、とよく考えています。

伝えるイメージが意識の中で、ポジティブな存在となれるよう頑張ります。

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