媒体特性
先日のブログでもカタログをアップいたしましたが、弊所では第53回岡山市芸術祭のアートディレクション&デザインを担当しています。
今年、芸術祭として初めてポスターもつくり、岡山の公共施設をメインとして展開されています。ありがたいことに、このポスターをみられて早速お問い合わせもあったそうです。
ポスターについて、紙媒体の中では特に“Old Media”(旧世代型の媒体)と言われて久しいですが、言葉の表現に違和感を感じることがあります。もちろん、ポスター全盛期の時代からすれば、その数は大幅に減少しています。ただ、その「在り方」が変化しているのだと考えています。
デザインが扱うモノやコトは、コミュニケーションを主軸とした「情報」です。感覚として情報にも重量があり、軽いものから重たいものまで幅広くあります。それは、文字数の多い少ないとは異なって、例えたった一行のコピーでもズッシリと重たい情報は存在します。
その情報の重量は、媒体にも反映されます。Web上には情報が氾濫しており、一つ一つの要素が軽いと考えられています。もちろん、サイトのデザインや表現から心に届くコミュニケーションを生み出すことは可能です。ただし、その「媒体特性」が内在していることを前提として選択することが求められます。(その特性さえも逆手にとって、表現に組み込むことも考えられますが)
相反して紙媒体の情報は、「読もう」「見よう」と能動的な場面で使われることも多く、直接、心に届くものが多くなってきたように感じます。また、Webのネットコミュニケーションが台頭している現在、紙による伝達手段での媒体や印刷にかかるコストも、より顕在化しています。紙という媒体は、手触りまで含めた物質的な感覚を大事に「あえて」選択する方向になってきているのだと思います。
紙媒体は“Old Media”ではなく、“Valuable Media”(価値の高い媒体)に、これからよりシフトしていくのではないでしょうか。そして紙は「希少価値」が高まっていき、ただの“Old”ではなく上質な“Vintage”になっていくのかもしれません。