十八盛酒造さまが手がける日本酒、「十八盛」のリブランディングデザインを担当しました。
今回のプロジェクトでも、まずはしっかりとヒアリングから行いました。代表取締役であり杜氏、八代目の石合敬三さんから日本酒や酒造についてなど、お考えの共有を深めながら形にしていきました。
その中でデザインの軸にするべき部分、つまり、理念やビジョンの言語化を石合さんにお願いさせていただきました。そして、コミュニケーションを重なる中で、整理したものが下記となります。
自然の、力強さを感じる。
自然を、心体に吸収する。
わたしたちは酒造りを、
米・微生物・水など命をいただき、
そのまま食すよりも
さらに大きな力を得るものにすることだと
考えています。
だからこそ日本酒は、
単なる嗜好品・アルコール飲料ではなく、
人の営みの中で
必要とされてきたのかもしれません。
わたしたちはこれからも日々を大切に、
お酒の本質、普遍性に向き合いながら
造っていくことを目指します。
十八盛酒造株式会社
代表取締役
石合敬三
このお言葉の原形が届いて読んだ時、感動しました。
ここからコンセプトは核にある地域性、つまり倉敷児島で育まれた瀬戸内海など風景のイメージを込めることが大切だと考えて、ご提案していた「穏やかな自然」に決定しました。
デザインのアイデアソースは「十八盛+瀬戸内海+18の波+ひろがり+繋がり」で、ラベルの展開は「山田錦純米大吟醸」「朝日純米大吟醸」「山廃純米雄町」「雄町純米」「山田錦純米」の五種です。リブランディングだからこそ積み重ねてこられた価値である、これまでの色彩も参考にしながら日本の伝統色や瀬戸内海を想起させる設計を目指しています。
また、「十八盛」のイメージを集約した波のマーク部分は、銀の箔押しにしました。この箔についてプレゼンテーションでは当初、柔らかさを意識した「つや消し銀」や名刺など他媒体との統一感を目指した「つやあり黒」などをご提案しました。ですが、石合さんから「海のイメージがより強くなるのでは」や「インパクトと波がきらきら輝くイメージにつながり、より地域性をリアルに感じることができるのではないか」とお聞きすることができ、最終的に「つやあり銀」で着地しています。
この箔は瀬戸内海のきらきらした美しさや水面にうつり込む雰囲気も表現し、とても素敵な仕上がりとなりました。やはり解答はクライアントの中にあると感じたストーリーです。ここでデザインは構想・想像・妄想を実際に可視化する力で、貢献していければと思います。
今回いただいた数々のお言葉からデザインに向き合うことで「自然」の力強さや大切さを、あらためて考える機会をいただけました。
十八盛酒造さま、ご依頼をありがとうございました!